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日本の国土: 現在世代は将来世代に対しどういう貢献をすべきか。

2020年1月3日 金曜日 曇り

大石久和 国土と日本人 災害大国の生き方 中公新書 2012年

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公共事業費の削減 ・・そこには、そもそも政府とは何をすべきものなのか、現在世代は将来世代に対しどういう貢献をすべきなのか、あるいは日本は世界に対してどのような存在であることを主張し、どのような責任を果たすべきなのかといった議論は、ほとんどなかった。(大石、同書、p161)

つるべ落としのような公共事業費の削減 ・・これほどのスピードで公共事業費を削減していった例は、世界の国々のどの歴史をみても皆無である。このゆがみは雇用の問題のみならず、建設会社が倒産したり機械類を売却したりしたため豪雪時に除雪ができないとか、災害時に建設機械が足りないなどといった、近年各地で頻発している社会問題にもつながっている。(大石、同書、p162)

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 ・・大災害頻発国であるのに、災害による国土分断の可能性を軽視し、そのため、ネットワークの代替性や補完性といったリダンダンシー(冗長性)をほとんど考慮してこなかったのがわが国の国土整備の現実である。(大石、同書、p202-203) ・・国土造りにおいて冗長性を目標化してこなかったことが最も大きな反省点であり、非常時モードのある国として国土を整備していくことが、これからの大きな課題である。(大石、同書、p205)

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日本の地籍調査は、1951年開始〜2010年までの調査の完了率49%!(大石、同書、p106)

進まない地籍の確定: ・・「地籍が確定している」とは、一筆ごとの土地の所有者・地番・地目・境界・面積が確定している状態をいう。(大石、同書、p105)

 ・・江戸幕府も何度も検地を実施した。しかし、実際には支配している面積よりも幕府に提出する面積の方が小さいという、いわゆる縄延びが多く起こっている。・・特に、外様大名の領地では、縄延びが多いといわれている(p110)

 ・・実質的には明治五年(地租導入)のときの調査の結果が、現在の公図に引き継がれている。登記所に備え付けられている六八〇万枚の図面の四割は、明治時代にさかのぼる公図と呼ばれる図面なのである。これでは、現地と台帳との間に大きなずれが生じることもやむを得ない。(大石、同書、p110)

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