2020年3月6日 金曜日 晴れ
太田猛彦 森林飽和 国土の変貌を考える NHKブックス1193 2012年
補註: 著者の太田猛彦氏は1941年生まれ、東大名誉教授。専門は、森林水文学、砂防工学、森林環境学。
海辺の林は何を語るかーー津波と飛砂
はげ山だらけの日本ーー里山の原風景
森はどう破壊されたかーー収奪の日本史
なぜ緑が回復したのかーー悲願と忘却
いま何が起きているのかーー森林増加の副作用
国土管理の新パラダイムーー迫られる発想の転換
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木材資源を利用すること: 森林の原理(太田、同書、p235の表6-1)
物質利用原理
森林の原理: 木材などの利用はもっとも効率のよい光合成生産物の利用であり、生活を豊かにする。しかし、とくに環境原理とトレードオフの関係にある。
新しい森林の原理: 持続可能な木材の生産・利用は現太陽エネルギーの合理的な利用法で、持続可能な社会におけるもっとも基礎的な資源である。(太田、同書、p235)
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山地保全の新しいコンセプトは、土砂災害のないように山崩れを起こさせ、流砂系に土砂を供給することとなるのだろうか。少なくともそのような劇的な発想の転換が、新しいステージで要求されていることは間違いない。(太田、同書、p243)
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・・しかし、一歩山に近づくと様相は異なる。木々はたくさんある。これは決して当然のこととはいえない。だが、山に森があり木々がたくさんあることを、当たり前だと思っている人はどうやら少なくない。この思い込みに立って「森が減っているからどうしようか」と考えることと、「増えている森をどう扱おうか」と考えることでは、その結論が全く異なってくるだろう。これは私たちが国土をつくっていくうえで見過ごすことのできない問題である。 私がこのようなことを明確に意識し始めたのは一九八〇年代の終わりごろだったと思う。以来、意識的に「森は豊かになっている」「森が豊かになって国土環境が変わってきた」と発言してきたが、この主張が伝わったのはごく一部の人に限られていたように思う。(太田、同書、p253)
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