culture & history

三輪山の神は出雲のみならず、日本中の大己貴神の発祥地となり、大己貴神、「大いなる穴=鉄に座す尊い神」は日本中に祀られている。

2024年1月23日 火曜日 晴れ

長浜浩明 古代日本「謎」の時代を解き明かす 神武天皇即位は紀元前70年だった! 展転社 平成二十四年

 「大己貴神(おおなむちのかみ)・発祥の地」の重み ・・真弓氏によると、出雲大社に祀られている大国主命とは、大和の大神神社(おおみわじんじゃ)の御祭神であるオオナムチの神(大己貴神・大穴牟遅神)であるという。・・・(中略)・・・「神話では、出雲地方は大きく取り扱われているが、出雲地方が開けたのは、考古学の上からは5世紀代以後と見られるのに対して、三輪山周辺には三,四世紀の古墳が存在しているから、オオナムチの神の発祥の地は出雲ではなくて三輪山付近で、・・」(古代の鉄と神々)

 確かに三輪山の南に「出雲」なる地名があり、遺跡年代からして、人々はこの辺りから製鉄技術を携えて山陰の出雲に渡って行き、山間部から勢力を伸ばしていったと考えられている。

 それは、大己貴神の説話は砂鉄が豊富な山間部を中心に分布し、この神が、まつろわぬ八十神たちを征伐、東出雲から西出雲を統合し、出雲大社に大国主命=大己貴神を祀るに至ったから、というのである。

 実は、三輪山の神は出雲のみならず、日本中の大己貴神の発祥地となり、大己貴神、「大いなる穴=鉄に座す尊い神」は日本中に祀られているという。

 例えば、岡山県津山市にある美作国一宮、中山神社は金山彦神を祀るが、元は大己貴神を祀っていたという。物部肩野乙丸(『旧事本紀』の天孫本紀にはニギハヤヒノ命の十四世孫)が、大己貴神を奉じて製鉄に関わっており、近郷の糘(すくも)山には七〇以上の製鉄遺跡が発見されている。即ち、物部氏一族は大己貴神を奉じ、美作地域の製鉄集団を支配していたと考えられる。

 また『天孫本紀』によると、軍事氏族である物部氏の石上(いそのかみ)神宮は、かなりの製鉄部民を支配していたという。

 更に『播磨国風土記』によると、火明(ほあかり)命は大己貴神の子神となり、物部の祖神・ニギハヤヒノ命と尾張氏の祖神・火明命が同神のようになっているという。すると大己貴神は物部と尾張の親神となり、神武天皇が大神神社(おおみわじんじゃ)の神の御子を后とされた意味は、限りなく大きくなる。(長浜、同書、p161-163)

**

補註 ウェブ辞書によると: おおなむち‐の‐かみ〔おほなむち‐〕【大己貴神/大穴牟遅神】

大国主命おおくにぬしのみことのこと。大己貴命おおなむちのみこと

**

補註: 金山彦神 ウィキペディアによると・・・

古事記』では金山毘古神、『日本書紀』では金山彦神と表記する。金山毘売神(かなやまびめのかみ、金山姫神)と対偶をなす神である。「金山」は鉱山と解するのが一般的で、金山毘古神・金山毘売神の二神は鉱山の神と解釈される。

神産みにおいて、イザナミが火の神カグツチを産んで火傷をし病み苦しんでいるときに、その嘔吐物(たぐり)から化生した神である。『古事記』では金山毘古神・金山毘売神の二神、『日本書紀』の第三の一書では金山彦神のみが化生している。

岐阜県垂井町南宮大社(金山彦神のみ)、南宮御旅神社(金山姫神のみ)、島根県安来市金屋子神社宮城県石巻市金華山黄金山神社京都府京都市御金神社及び幡枝八幡宮末社の針神社を始め、全国の金山神社で祀られている。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0a/Creation_myths_of_Japan_4.svg

**

*****

*********************************

RELATED POST