literature & arts

詩情を誘いて碧霄に到らしむ

2016年10月31日 月曜日 雨

一海知義 漢詩一日一首 平凡社 1976年

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劉禹錫 秋思

自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄

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古(いにし)えより 秋に逢えば 寂寥を悲しむも
我は言う 秋日 春朝に勝れりと
晴空 一鶴(いっかく) 雲を排して上れば
便(すなわ)ち 詩情を引(いざな)いて 碧霄(へきしょう=青空)に到らしむ

晴れあがった秋空に、一羽の鶴が雲をしのいで舞いあがるのを見れば、たちまちわが詩心は誘(いざな)われて、鶴とともに碧空へと天翔る。 詩心をそそる時、詩人のイマジネーションを飛翔させる季節、それは秋にしくはない、秋は詩人にとって鬱屈の時でなく、解放の時である、というのである。こうした発想は、唐以前の詩にはめずらしい。(一海、同書、p396)

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夜すずしくして 金気(秋の気)応(かな)い
天しずかにして 火星(秋の星)流(くだ)る
(劉禹錫・新秋、月に対して楽天に寄す)
ここでも秋は好もしい季節としてうたわれている。(一海、同書、p397)

補注 早速に陰陽五行説による用語解説を行いたいところだが、この半年ですっかり知識が錆び付いてしまった。しばらく宿題にさせていただきたい。

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