菜園日誌

暗渠 vs 高うね

水捌けをよくするために:

2015年8月7日 金曜日 雨のち曇りときどき雨

この夏は例年よりも日照時間が少なく、雨が多いような気がする。

畑の中央部分の水捌けが悪く、強い雨の後などは土が流されるだけでなく水捌けが悪いところは雨の後一週間経ってもまるで田んぼのようなジルジルである。踏むと10cm近くもめり込んでしまう。これをどうするか。

1.自然にできた中央部分を縦断する溝をきっちりとした明渠に仕上げる。道と交差する部分などでは(板・丸太・コンクリートパネルないし金属格子の)上板を被せて軽トラや農業機械が安全に通れるようにする。圃場の周囲に明渠を堀り巡らせることに比べて中央部分に明渠を設置すると、農業機械の作業能率を下げてしまうことになる。これは、本来は望ましくない。これをどのようにうまくクリアしていくか工夫のしどころである。

2.これに注ぎ込む形で畝間に明渠ないし暗渠を拵えるとよいのだろう。ただしこれは経費的に厳しい。また、効果の持続性に心配がある。

すなわち、緩衝材の籾殻などが高価である。農協で30リットルが300円と伺った。手に入るのは秋の一時期のみ。安いようだがたった3立米で3万円もするのは高い。貴重な品だ。できるだけ細身の暗渠にしなければならない。

掘削してから緩衝材を入れて埋め込むタイプの暗渠だと数年から十年以内には暗渠の効果が失われてしまうことがほとんどとのこと。せっかく暗渠を設置しても、泥水が緩衝材に向かって押し寄せるために新たに縦方向の耕盤が形成されて水が流れなくなってしまうとのこと。また、籾殻は圧縮されて暗渠跡の上層が窪地になり、農業機械などの操作が難しくなったり事故の原因になったりという危険も生じる。籾殻の代わりに他の資材たとえば小石(バラス)と火山灰大粒(いわゆる軽石)とにしたばあい、さらに高価な資材投入となる。これらの緩衝材自体は、なるほど土圧に耐えて半永久的に持つものの、泥水が押し寄せてくれば目詰まりするのは籾殻と同じ原理である。周囲の土自体がしっかり固まってしかも適当な篩いのようになって水を濾過して、泥水になってない澄んだ水を排水管(コルゲート管)まで届けることができてはじめて半永久的な暗渠が構築できることになる。バックホーで暴力的に耕盤層を破壊してから埋め戻すのでは、もともとの土の構造に良い変化を与えることができていない。周囲の土が最初からそんな濾過作用ができていたのであれば、もともと暗渠など設置しなくても重力の方向に水を流してくれていたわけである。耕盤を合理的に壊して、濾過効果を持つ構造に改変することを可能にするのは、トウモロコシやギシギシなど根を深く張って耕盤層を破壊する作物や雑草に働いてもらうことかと考える。ゆっくり構造を作った方が最終的にはうまくいきそうな気がする。そうであれば、なんのための暗渠工事だったかということにならないか。数年から十年のあいだ植物や動物・微生物に働いてもらって水捌けのよい土が作れるのであればわざわざ暗渠工事を行って土の構造を破壊する必要もないだろう。暗渠の寿命が数年から十年であるとしたらなおさらである。

2’ 代替案として考えているのは、暗渠ではなく高畝(以下、高うね)方式の排水法である。これは詰まるところ、畑作では昔から人々が行ってきた従来通りの方法である。(ただし、もちろん水稲の田んぼには応用できない。)これに関して、項を改めて考えてみたい。

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