agriculture

耕耘が微生物に及ぼす影響

2015年8月6日 木曜日 曇りときどき雨

耕起が微生物に及ぼす影響

西尾道徳、土壌微生物とどうつきあうか 農文協 昭和63年(講座 微生物段階の土作りーー1)

耕耘は土をどう変えるか

草地はいったん造成されると、数年間は耕起されない。草地のルートマット層よりも下の層では、酸素不足によって微生物の活動が抑制されている。微生物の活動や増殖が抑制される結果、有機物が蓄積されやすい。・・・(中略)・・・草地土壌が酸性化してくると、無機化されて牧草に吸収される窒素やリンが減少し、土壌に蓄積する分が増加する。つまり、草地の物質循環では、土壌に還元された窒素やリンが100%回転して牧草に再吸収されるのではなく、かなりの部分が菌体や分解残渣として土壌に蓄積する。そして、酸性化すれば蓄積部分が増加する。そのため、追肥の形で養分を補ってやらなければ、生産量が低下する。いいかえると、草地土壌は養分をため込む能力が高いのである。これは、酸素の制限された水田と似ている。
 さて、こうした草地を耕起すると、一時的に多量の養分が放出されてくるのだが、ここで耕起が微生物に及ぼす影響を考えてみよう。
 土を耕すということは自然界にはなく、人間が土壌に加える行為である。耕すことによって、
1)土壌がやわらなくなって通気性がよくなる。
2)土層における有機物の分布が変わり、耕された土層では有機物の分布がかなり均一化する。
3)土壌が乾燥する。
4)土塊や一部の土壌団粒が破壊されて、中に閉じ込められていた有機物破片が露出される。
5)機械的な力によって土壌粒子がこすれ合って、間にはさまった菌体や有機物をすりつぶす。
耕すとこれらの物理的な変化が生ずる。これに伴って微生物も影響を受ける。(西尾道徳、土壌微生物とどうつきあうか 農文協 昭和63年、p161-162)

*****

**********

RELATED POST