国文学近現代

声にならない慟哭—-遂に声になりえない必死の語りかけ

2018年8月3日 金曜日 晴れ・からっとした晴天・仕事していても汗ばまず元気に働けた。
天沢退二郞 宮沢賢治の彼方へ ちくま学芸文庫 1993年(オリジナルは1967年)

・・声にならない慟哭ーー遂に声になりえない必死の語りかけは、ただ沈黙の裡にのみ語られうる。・・・(中略)・・・このとき、一九二二年十一月二十七日の賢治において、詩作品とは、死にゆくとし子への語りかけを沈黙の裡に—-即ち語りかけの不可能のうちにうたうこと、立ち上がらせることそのものであり、それ以外ではありえなかった。(「永訣の朝」と「無声慟哭」に数回挿入されるとし子の方言のままのことばが衝撃的なのは、この不可能へ外側からつきあたり介入してくるその直接性のためである。)したがってそのとき、詩は奇跡的に自らの原理のひとつと出遇ったのである。(天沢、同書、p173)
**
*****
********************************************
RELATED POST