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塩の溶液が中性のものと酸性やアルカリ性を示すものが出てくるのはなぜか?

2020年3月14日 土曜日 晴れ

山崎 昶(あきら) 溶液と濃度30講 やさしい化学30講シリーズ 朝倉書店(2012年)

無機塩類の[加水分解]

・・ところが、実際には莫大な量の水で希釈した場合以外、このような反応は起きないのです。・・自然界で起きる反応は、できるだけ弱い酸とできるだけ弱い塩基が生じる方向に進むわけで、ここで塩酸や硫酸が生じるというのはエネルギー的にもあまりにも無理な説明なのです。・・・(中略)・・・

それではなぜ、塩の溶液が中性のものと酸性やアルカリ性を示すものが出てくるのでしょう?

これは実は金属イオンに配位している水分子が解離して、プロトンが放出されるためなのです。この反応は「オール化」とも呼ばれますが、電荷の大きな金属イオンに水分子が配位(水和)しますと、水分子上の電子雲は当然ながら水素原子よりも電荷の大きな金属イオンの方へと引き寄せられるので、O−H結合は弱くなり、条件しだいで容易に切断(解離)して H+ を生じることになります。・・その結果水溶液にはプロトンが余分となるので酸性を呈するようになるのです。アルカリを添加すると、プロトンが消費されますのでさらにオール化が進み、・・・・・(中略)・・・

アルミニウムやジルコニウムなどのような多価のイオンの塩化物や硝酸塩、硫酸塩などの水溶液は、ナトリウムやカルシウムなどの塩類水溶液がおおむね中性なのに比べますと明らかにかなり強い酸性を示すのですが、この原因はいずれもこの「オール化」によるものです。(もちろん昔風の先生方は「加水分解」という言葉を愛用されますが)(以上、山崎昶、同書、p149-150)

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中性塩の水溶液がアルカリ性を呈するのは、酢酸などの弱酸と強塩基との塩の場合です。これは弱酸のイオンが水からプロトンを奪う方向へと平衡が移動するためで、その結果として水酸化物イオンが増加してきますが、強塩基の陽イオンは水酸化物イオンと結合しにくいために、増加した分だけpHがある狩川に移動する結果なのです。こちらの方ならまだ「加水分解」という言葉を使用しても許容されるかもしれません。(山崎昶、同書、p150)

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