2021年2月24日 水曜日 曇り
星新一 ちぐはぐな部品 角川文庫 初版は昭和47年、私の持っているのは平成18年改訂初版。
・・からだの小さい点を除けば、一般の女性と、あまり変わりはない。ちょっとした美人であり、頭の回転も悪くなさそうな顔つきだった。だが、どことなく落ち着きがなく、軽薄そうで、好感は持てそうになかった。(星、「災害」、同書、p253)
・・ケイ氏はやっと核心の質問にたどりつき、女はあっさりと答えた。 「週刊誌の妖精とでも、マスコミの悪魔とでもいった存在なのでしょうね」 ・・・ 「一種の幻覚なのでしょうね。だけど、あなたにとっては、幻覚ではないわ」 「それならだれの幻覚だ」 「週刊誌など、マスコミで生活している人たちのよ。彼らは、なにか事件がおこってほしいと、念じつづけているわ。その祈りだか、執念だか、潜在意識だかが、なんらかの作用で凝結し、あたしができてしまったわけよ。どうしようもないわ」(星、「災害」、同書、p257)
・・「いいかげんにしてくれ」 「そうはいかないわ。みんな、これで楽しんでいるじゃないの。それに奉仕するのがあたしの崇高な義務よ」 とても離れてくれそうになかった。ケイ氏は、身のおきどころがなかった。・・・(中略)・・・ マスコミの悪魔にとりつかれている限り、自由の許されるはずがない。(星、「災害」、同書、p259-260)
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・・個人的には懐かしさをおぼえるが、読者にそんな印象をあたえてはいけない。つねに読者とは初対面が、私の主義である。(星、昭和61年版の「あとがき」、同書、p288)
・・日本の社会の変化は、めまぐるしい。科学技術から、ものの考え方など、たちまちのうちに一変してしまう。小説も書きにくくなっているのではなかろうか。(星、同、p289)
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