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古代末期農民の「怠惰・反抗的・投げやり」vs 中世以降の農民の「勤勉さ」。雇用労働力による直営制 vs 小作人=自営農民による請負制。

2021年12月1日 水曜日 雨かつ暴風(かなりの雨量と吹き飛ばされそうな強風)

朝から雨強く、農作業は今日はお休みになりそう。風が強くて、防雪用に設置していたコンパネが四枚とも吹き飛ばされてしまい、立てていたのを平積みにして難を逃れたことにする。(平積みでも安心はできないかも?); お昼頃には暴風雨がおさまって、さて午後から剪定作業3時間半の労働・・ということは私も勤勉な農民ということか? 夕方にはまた激しい風が吹き荒れ、さらには気温が10℃も下がり、雪も降り出した。荒れた天気・・北海道の本格的な冬の始まりの12月1日。

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西谷(にしたに)正浩 中世は核家族だったのか 民衆の暮らしと生き方 吉川弘文館 2021年(吉川弘文館の歴史文化ライブラリー524)

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農民の働きぶり

 ・・日本人は勤勉だ、とよくいわれるが、その勤勉さは、収穫を増やすために手間暇(てまひま)を惜しまず努力を続けてきた先祖の農民たちの営みを通じて培われてきた。ところが、ここ(補註:九世紀半ばの高札=「古代のお触れ書き」と呼ばれている)に現れた古代末期の田夫の姿は、勤勉とはほど遠く、怠惰、反抗的であり、投げやりな感さえうける。

・・はたして、長時間労働に従事した農民と怠慢な農民のどちらが、当時(補註:古代末期〜中世初め)農民の実像により近いのだろうか。  もとより、乏しい同時代史料からは断定はできないが、おそらく後者(=怠慢な農民)であろう。そう考える最大の理由は、農業に取り組むインセンティブの有無にある。・・・(中略)・・・生産を増やして生活の質を高めたいという「欲」が、近世農民の「勤勉さ」の精神的土壌を形成する刺激となった。しかし、古代末期の農業においては、・・末端の耕作農民に自発的な努力を発動させる契機が構造的に欠如していたのである。(西谷、同書、p22−23)

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大開墾時代: 労働力をめぐる競争

古代・中世の史料では、字面の印象と実態が違うことも珍しくない。逃散は、夜逃げのたぐいではなく、主体的な退去であった。また浪人も、実態は流動化した労働力とみたほうがよい。荘園経営の最大のカギは、浪人を呼び込み、田堵(たと)の流出を留めて労働力を確保できるかどうかにあった。しばしば荘園の領主は、田堵の逃散による荘園経営の破綻を訴えて国役(くにやく)免除や国使(こくし)不入などの特権の付与を国に申請したが、これは要するに、経営者側がよい労働環境を提供できなければ、労働力(田堵)がより条件のよい経営体(荘園)に流出するということにほかならない。(西谷、同書、p29−30)

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請負制の成立

中世以降の地主制では、耕作者は地主に借地料を支払って農耕をおこなう小作人であるケースが主流となった。この小作人は、一般に自営農民であった。(補註:この場合は「自営農民の定義を補正する必要がある)地主と小作人の雇用関係は請負契約にあたるが、さらに中世の場合には、領主と百姓の関係も一種の請負契約と理解しても大過ないだろう。・・こうした小作人の立場は、彼の農地への投資と耕作意欲をかきたてた。中世以降、反収が大幅に上昇したのはこれによる。(西谷、同書、p42)

これは私たちの畑。2018年5月撮影。タンポポの花盛り。トラクターのロータリー耕耘で耕して夏ソバなどの種まきの準備中である。手前にはニンニクのマルチ栽培、その向こうには、リンゴの樹が少し植わっている。リンゴを支えている木柱はホームセンターで買って来たもので、防腐処理がなされていなかった。そのため、設置して3年目(2018年)の夏、北海道にも到達した台風の風で(リンゴもろとも)へし折れてしまった。防腐処理無しの木柱の税務上の減価償却期間が2年(防腐処理がされていれば5年)となっているのも宜なるかなと納得した経験となった。

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2018年8月撮影。
5月末にソバのタネを蒔き、8月には一面のソバ畑。キタワセソバ(北海道の夏ソバ品種)。

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