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森を焼くことなく生きのびることができなかった人類の原罪

大場秀章 はじめての植物学:植物たちの生き残り戦略 ちくまプリマー新書193 筑摩書房 2013年

2015年8月13日 昨日は雷雨・達布の地崩れ土砂流れ。

今日は晴れ、朝の気温は22,3度とさわやか。ススキが穂をそよがせている。

 樹上での果実食を得意として進化してきた霊長類の一員である私たちヒトは、速く走るわざも木登りのわざも持ち合わせなかった。他の動物には苦くまた酸っぱくて食べない草や実、種子を食べ、生きのびてきたのだろう。おそらく、あるとき山火事で焼けた動物の肉を食べることを覚え、それが昂じて自らの出自の森を焼いた。そのなれの果てが都市砂漠と消滅寸前の熱帯林などの悲しむべき姿である。森を焼くことなく生きのびることができなかった人類の原罪をもっと自覚すべきである。さらにいくら強調してもしすぎることがない、植物なしには生きながらえることができない宿命についてもだ。(大場、同書、p180)
 
 植物界の現状をみるにつけ悲惨な気持ちになるのだが、その一方で遠い未来の植物について想像するのも私が好きなことのひとつである。というのも種子を生み出し、花と果実をつくり、海の中で袂を分かった動物たちと陸上において再び共生の道を歩む選択を植物はした。被子植物の進化はまさに動物との共生に関係している。
 動物もだが、植物ももうこの先はなく、消滅へとむかうのだろうか。私は被子植物にない新たな特徴をもった、まったく新しい植物が誕生してくる可能性だって十分にあるのではないか、と思っている。私はときどき、その様相を想像して楽しんではいるのだが、未だ語るに足るその姿かたちを提案できないでいる。この未来の植物像の提出、それこそ未来を担う若い世代に託すにふさわしい課題であると私は思う。(大場、同書、p180-181)

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