加地伸行 儒教とは何か 中公新書 1990年
2015年10月20日 火曜日 曇り
宗教とは何か
われわれは、キリスト教を念頭に置く宗教学の呪縛から解き放たるべきであろう。なにもキリスト教が唯一の絶対的宗教ではないからである。・・・(中略)・・・ その欧米の宗教学とは、大きくはキリスト教を背景としているから、キリスト教の影響を脱しきることができない。・・・(中略)・・・ しかし、そのような欧米宗教学のお仕着せでは、とうてい儒教の宗教性を分析することはできない。わたしは私なりに宗教の定義を下して、それによって儒教の宗教性を見たい(加地、同書、p31-32)
宗教哲学者の西谷啓治氏は、「宗教とは何かといふことは、裏から見れば宗教といふものが我々にとつて何のためにあるか、我々になぜ必要かといふことである」と述べる(宗教とは何か 創文社・昭和三十六年)。
西谷氏は、宗教はその人にとって必要ということがあって始めてその姿が現れるものだと考えている。私はこうした解釈に同意する。宗教とはそのように「自分にとって」という実存的なものであろう。必要としない人には宗教は無縁である。まさに「馬の耳に念仏」である。(加地、同書、p32)
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