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Linux・Unix 入門: ファイルを相手に入出力できれば、すべてのデバイスを相手に入出力できる。

2021年2月15日 月曜日 曇り

奈佐原顕郎 素朴な疑問を解消しながら学ぶ 入門者の Linux 講談社ブルーバックスB1989 2016年

・・Unix はすべてのデバイスをファイルとして表現する、・・ということは、ファイルを相手にした入出力ができれば、すべてのデバイスを相手に入出力ができるのです。プリンタや記憶装置もファイルとして認識しますので、コマンドの出力を直接それらの機器に渡すことができるのです。・・・(中略)・・・Unix のそのような抽象性は、Unix の難しさでもありますが、魅力でもあるのです。(奈佐原、同書、p141)

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「Linux 力」はインストール回数に比例する!(奈佐原、同書、p303)

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「Linux の魅力」とは?

「彼ら」(補註:=Unix やLinux のCUI)は、ユーザーのやりたいことを先回りして限定的に提示し、ボタン1つで自動的にこなしてくれるような「親切なシステム」ではありません。むしろ、「あなたの本当にやりたいことは何?」「あなたは本当に私の能力を引き出していますか?」「もっと良い方法はありませんか?」「もっとしっかり詰めて考えませんか?」とユーザーに問いかけるのです。「彼ら」のシンプルさ・合理性・論理性が「鏡」となって、ユーザーの姿を映し、ユーザーに成長を促すのです。それが「彼ら」の魅力のように、私は思うのです。(奈佐原、同書、p306-307)

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補註: 「Unix の根幹をなす仕組み・概念(どのようなUnix にも共通するもの)」をUnix 初心者がゆっくりと学ぶには絶好の入門書だと思う。私もこれで初めて、最後のページまで通読できた(210216読了)。

「使える」とはいえないまでも、「根幹は少しだけわかった」と言えるようになりそうな「Linux 入門書」。

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Unix のCUI は、コンピュータの能力を存分に引き出してくれる!

Unix は、「その仕事のためのソフト」ではなく、「その仕事を構成する部品」たちを提供します。それが wget コマンドや、 convert コマンドなどです。それらを使って、ユーザーは自分で「その仕事のためのソフト」を組み立てるのです。それがワンライナーやシェルスクリプトです。自分で組み立てるので、痒いところに手が届くような、繊細な作り込みも可能ですし、他の用途への流用や転用もスムーズにできるのです。

もうひとつ大事なのは、そのようなアプローチは対象が巨大になっても大丈夫、ということです。・・・(中略)・・・Unix のCUI は、相手の大きさによって怯んだりしないのです(工夫によって効率の善し悪しは生まれますが)。これが、Linux が手のひらサイズのRaspberry Pi から巨大なスーパーコンピュータまでいろいろなコンピュータに搭載される理由の一つです。

さらに、Unix のCUI が有用なのは、cron による自動処理です。やるべきことがワンライナーやシェルスクリプトに整理されることは、繰り返しや自動処理と相性がよいのです。

 Unix は、論理的な整理が可能で、大量のデータを対象とし、自動化が望まれるような仕事に、大きな力を発揮するのです。まさにIoT とビッグデータの時代のOSではないですか! (奈佐原、同書、p300-301)

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補註: 私も若干のコンピュータ談義:

初めて購入したラズベリーパイ1号機ををラッピー21aと名づけて、本書の指示通りに入力(=写経と言われているようだ)しながら読み進めている。残念ながら、住居環境が整わず、現在は朝食の後にモニターをテーブルに載せ、次の食事前にテーブルから片付けて食事し、以下、食事の数だけ繰り返し、というfor ないしwhile のループ作業が挿入されている。

他者からの見た目がやや哀れなのはともかくとして、120cm幅のテーブルの上にコーヒーやお茶のコップやポットが載っている情況に、モニターやキーボード・マウスなどが共存している環境なのであるから、いつ何時それらの液体が電子部品の上に躍りかかってきてカタストロフィーを招かないとも限らない。つい昨日も福島県沖のマグニチュード7.1の地震でこちら北海道もある程度の揺れを観測した(補註:福島に近い日光の鐸木さんのところでは棚から本が落ちてきた、酷い地震だったとのこと)。地震よりももっと被災の確率が高いのは、私が眼の疲れを遠因として自身の首から上がカクッと無意識下に動いた拍子にコップの液体に衝撃を加えることから引き起こされる災害の方である。ともかく、気をつけよう。

考えようによっては、私の現在(大学教授退職→ここ8年間は所属無し→夏期は額に汗する独立自営業)は、40年前の学生→研修医時代よりも住環境が悪いビンボー生活とも思われる。

ところで、その頃はNEC98コンピュータが職場(医局=教室)に1台設置されていて、私たちはキーボードに触れることさえ許されていなかった・・。私も、最新のNEC98シリーズを個人用に欲しかったが、本体のみで三十数万円のパソコンは、研修医の1か月の給料が10万円だったその頃の私に買えるはずもなかった。向学心に溢れてはいても自粛せざるを得なかった。それが今ではラズパイ重さ45グラム(25〜35USDとのこと)を必要とあれば何台でも所有できるまでに、コンピュータが安価・高性能となったのである。

先日、臨床医学系の遠隔映像講義を受講していたら、某大学の医科学研究所の先生が、「共同研究グループに参加し共用情報施設利用できるようになるために支払う費用が1グループ1年間がわずか30万円弱、これはノートパソコン1台の値段です」と言われているのを、私は聞きとがめてしまった。これはまさに40年前にNEC98コンピュータ1台の価格に感じた絶望感(あるいは切望感)に似ているではないか。やっぱり、働いてお金を稼ぎ、払うべき税金を払った後の自腹でコンピュータを買おうかなと選ぶシチュエーションでは、なかなか選択肢の範疇に入ってこない、いわゆる庶民には手が届かない価格帯である。私にとっては、ノートパソコン3台分プラス、おまけのラズパイ数台付きの値段が合計で30万円となり、某先生が当たり前のようにおっしゃる30万円はノートパソコンの値段に過ぎないという感覚に大きな違和感を感じさせられるのであった。

昨今、ノートパソコンはずいぶんと高性能で便利になった。一方で、時流の方向は、外部レンタルサーバーを利用したいわゆるクラウド的な使用が主流となってきた。その結果、ノートパソコンすなわち端末自体に大きな容量のSSD(昔はハードディスク)を積み込む必要が無くなってきた。OSを搭載しているメインのSSDは128GBでも十分、256GBで何の不足も感じられない。外部保存装置のSSDもどんどん安価となっている。したがって、現状ではすでに、30万円もするような高価なノートパソコンが役立つような仕事がなくなりつつある。

画像処理・動画編集・音楽作成・ゲノム情報解析・ディープラーニングなど、ハードな仕事をこなすためには、たとえ端末的な使用であったとしても、端末CPUの性能はその時代時代で最も高いものが必要であろし、それに応じてメモリーも充分量(現在の私の感覚では最低でも16GB以上)あった方が安心であろう。ただ、本格的になればなるほど、仕事はデスクトップパソコンの似合う世界となっていく。セキュアリティの面からも余り外部への持ち出しにはそぐわない仕事のイメージとなる。

対照的に、ノートパソコンは気軽にどこにでも持ち運ぶべきもの。だから、仕事の内容の本体自体を端末ノートパソコンに搭載して持ち歩く時代はすでに終わっているように思われる。移動の利便性は高いが、やはり事故や故障、紛失や盗難の危険性もあり、ハードな仕事の内容をノートパソコンに入れて持ち運ぶべきではないだろう。クラウド的な端末の使い方に変わっていく流れの中で、30万円もするような高価なノートパソコンは、これからは趣味性の高い高級クラシックカーのような位置づけに「置いてけぼり」とされていくだろう。

そこで、私のノートパソコン談義お奨め編:

そこそこ高性能のノートパソコンとしてお奨めの価格帯は、10万円内外(7〜13万円)。最近ではMacBookAir(税抜104,800円) などが比較的買い求め易い価格帯である。Windowsマシーンなどでも、AMDのRyzen4000シリーズCPUなどを搭載した高性能のものが、比較的買い求め易い価格帯(10万円)に設定されていて有難い。

大きなファイルは外付けのSDカード32〜64GBなどに入れるようにすれば、OSを積むSSD容量は128GB〜256GBで不足は無い。メモリーは、今の時代では4GBでは足りないようだ。これからは、せめて8GB、同時に幾つかのソフトを走らせる人や、ハードな作業を端末でこなす人の場合は、16GBまたはそれ以上といった贅沢なメモリーを積んでおくと気持ちよく扱えると思う。

仕事でパソコンを持ち運ぶことが多い人の場合には、バッテリーの持ちが一番のポイントになるかもしれない。また、モバイル用途には軽くて丈夫な躯体が大切と言いたいところだが、価格が割高になるので、上記の価格帯だと難しいのであって、私の場合は最終的にいつも選択肢から外れてしまうのだった。それでも最近のノートパソコンは十分にコンパクトで十分に丈夫で軽いと思う。

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