literature & arts

『万葉集』の基層には、人を恋しいと歌う文化がある。

2021年2月25日

遠藤耕太郎 万葉集の起源 東アジアに息づく抒情の系譜 中公新書2592 2020年

・・『万葉集』の基層には、人を恋しいと歌う文化がある。歌掛けによる男女の交流や、喪葬儀礼における生者と死者との交流という小さな共同体内のコミュニケーションのなかに、恋歌や挽歌の抒情の原型は生まれた。『万葉集』を介して日本人は、人を恋しいと歌う文化とつながり続けている。(遠藤、同書、p294)

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・・なぜ、歌垣の歌(杵島曲)と、王権に抗しての逃避行のストーリーに挿入される歌とが近似しているのだろうか。歌垣歌と、逃避行のストーリーとはまったくかけ離れているように感じられるが、実は歌垣のなかで両者は深くつながっている。いったん、歌垣の現場に降り立ってみよう。

リス族の歌垣と駆け落ち型ストーリー

駆け落ちの背景

・・この駆け落ち型ストーリーに則った歌掛けは、虚構のストーリー設定をして、歌を掛け合っているということである。(遠藤、同書、p133-134)

歌掛けのクライマックス

リス族の場合、こうした協調と対立を繰り返して盛り上がっていく歌掛けのなかに、駆け落ち型ストーリーの登場人物の関係性が設定として持ち込まれ、駆け落ちを決心する歌をクライマックスとして歌掛けを終了するというパターンがある。(遠藤、同書、p136)

 

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