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違和感をも含み込む古典という存在を、私たちに身近なものとし、共感へと誘ってくれること、それが注釈の役割。

2021年3月21日 日曜日 春分の日の翌日 曇り

鈴木健一 古典注釈入門 歴史と技法 岩波現代全書046 2014年

共感と違和感という二項対立は、

・普遍的な価値に触れて、自分の基礎を形作ること。

・多様な思考と感情に触れて、自分の幅を広げること。

と言いかえてもよいのである。

両者の間を往復運動することで、より豊かなものを私たちは獲得できるはずだ。・・違和感をも含み込む古典という存在を、私たちに身近なものとし、共感へと誘ってくれること、それが注釈の役割なのである。(鈴木健一、同書、p12)

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壬生忠岑

春日野の雪間をわけて生ひ出でくる草のはつかに見えし君はも(恋一)

・・・おそらく、この歌は古語の響きの連なりと、平安貴族の持つ美意識という、私たちにとって非日常的な表現があることによって、普遍的な恋心をより印象的に彩っている。ここにも、共感と違和感の融合された古典のありかたが見て取れる。(鈴木健一、同書、p18-19)

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