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確率を攻略する: 頻度論的確率vsゲーム論的確率

2021年4月2日 金曜日 晴れ・雪解け・暖かい

小島寛之 確率を攻略するギャンブルから未来を決める最新理論まで 講談社ブルーバックスB-1927 2015年

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 ・・大数の弱法則・強法則、シェイファー・ウォフクの定理の完全な証明を、本書ほど初等的に紹介している本は他にはないだろう。  ぼくは今、確率ほどエキサイティングで、確率ほど魅惑的な数学分野は無いように思っている。それは、確率が、単なる形而上学にすぎない数学の垣根を越えて、生の現実に触手を伸ばしているからだ。(小島、同書、p248)

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・・「資金を無限個に分割して、それぞれから異なる比率で賭ける」という戦略は、「どのくらい小さいかわからない α 」に対し、完全に漏れなく対処する戦略なのである。(小島、同書、p236)

・・再び、資金の無限個の小分けという手を使うのである。・・・(中略)・・・どの小分け資金に対しても、「ある定数c以上となったら賭けるのを止め、その小分け資金に関してはそれ以降の賭け金はずっと0とする」という戦略である。(小島、同書、p239)

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頻度論的確率の主役となる「大数の法則」は、「1回の試行の確率は、多数回の(無限回の)試行で実現する」ということを意味し、その実現の程度を評価するものさしにも、確率という概念を用いるのであった。これはある種の堂々巡りと言えよう。  それに対して、ゲーム論的確率では、確率論の発祥に戻り、あくまでギャンブルに注目する。「1回の試行の確率」の代わりに、「賭けの戦略」を扱う。・・・(中略)・・・彼らの理論は、現在のところ、これまで知られている確率の定理を書き換えているだけで、新しい不確実性に関する定理は何も生み出してはいない。しかし、「確率とは何か」ということに全く新しい見方を導入し、確率概念を刷新した新世紀の理論として、高く評価されるべきである。あと100年のうちには、これが確率論の主流になるかもしれない。(小島、同書、p243)

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