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オーウェン・グラス法(1913年): ウィルソン大統領は「貨幣発行権を政府に留保し、信用供与のための地方分権的な銀行制度を樹立する」と公約して当選したのだが・・。

2022年12月7日 水曜日 時おり何度も猛烈な降雪・・厳しい冬の日。畑仕事を一段落させ、今日は本当に久しぶりに朝から読書して過ごすことができている。

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林千勝 ザ・ロスチャイルド 大英帝国を乗っ取り世界を支配した一族の物語 経営科学出版 2021年5月出版

1844年の「ピール銀行条例」と、1913年の「オーウェン・グラス法」とは、ともにロスチャイルド家が主導したことに加え、法律の趣旨がぼかされていることでも、二大政党の談合で生まれたことでも似ています。百年スパンの計画的行動です。  歴史的にアメリカ国民は中央銀行創設に反対していましたから、準備は少数の銀行家たちによって密かに進められ、成功しました。  ナサニエル(ロスチャイルド)は1915年に亡くなりますが、この時期、弟アルフレッド(ロスチャイルド)が実質的に采配を振るっていました。(林、同書、p250-251)

・・ウィルソン大統領は「貨幣発行権を政府に留保し、信用供与のための地方分権的な銀行制度を樹立する」と公約して当選しました。・・そうして苦心惨憺して出てきたのが、民主党案としての「オーウェン・グラス法」という名の連邦準備法でした。  「オーウェン・グラス法」は民主党が反対していた「オールドリッチ法」とは、実質上は、名前以外はほとんど同じという法案でした。しかも、この「オーウェン・グラス法」に対し共和党のオールドリッチなどが激しい非難の声をあげるという茶番劇付きでした。  「オーウェン・グラス法」という名の連邦準備法を実質的にまとめたのも、ポール・ウォーバーグといわれています。黒幕はやはりアルフレッド(ロスチャイルド)でした。  マスコミはこぞって議会の勇断を賞し、それに騙され国民はアメリカの政治いまだ健在なりと安堵したのでした。  1913年12月、連邦議会において、民主党が提出した「オーウェン・グラス法」を、徹底反対する上院議員たちがクリスマス休暇に入った23日を狙って強引に通過させ、ウィルソン大統領が署名しました。(林、同書、p249-250)

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大西洋を越えた中央銀行の中央銀行

 ・・1880年代および90年代、ロスチャイルド家の金鉱山はさらに莫大な利益をもたらしました。・・ロスチャイルド家は世界規模で金鉱を押さえ、イギリス圏から始めて、世界各国へ金本位制の導入を働きかけてきました。  この頃、中国、ペルシアや中央アメリカの国々はまだでしたが、アジアでも日本(1897年)を含め多くの国々が金本位制をとり(各国の通貨は金よりもむしろポンドに兌換されましたが)、ヨーロッパでは、1870年代前半にドイツ、78年にフランス、97年にロシアが金本位制へ移行し、金本位制がほぼグローバルな通貨制度になっていました。  (ロスチャイルド)ロンドン家とパリ家は、各市場での通貨危機の際には、大西洋を越えて大量の金をやりとりして各国の中央銀行を金本位制を支える役割を果たしました。ロスチャイルド家は実質上、中央銀行の中央銀行であったのです。これも莫大な儲けを生むビジネスでした。(林、同書、p180)

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