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リサイクルが資源の浪費になっている場合が多い

2016年3月29日 火曜日 晴れ

武田邦彦 科学者が読み解く環境問題 シーエムシー出版 2009年

循環型(リサイクル)社会の科学

循環型社会 定義:
社会で使用される資源を循環して使用し、それによって同一の活動量を保っても資源消費量をかなり抑制し得る社会(武田、同書、p171)

物質循環
(・・容器包装プラスチックとペットボトルのリサイクル原料となっている)比率は石油に対しても0.24%まで低下する。また、ある程度の資源の節約になっているいう点では、容器包装プラスチックが4万トン、ペットボトルが3万トンで、合計7万トンであり、石油消費量の0.028%である。つまり、統計の取り方で、0.03%から0.3%の差はあるにしても、この程度の効果しかない「分別、回収、リサイクル」を「循環型社会の成立のため」とか、「石油の消費を抑制する」などと表現するのは科学的には不適切であることが分かる。(武田、同書、p172)

エネルギー循環
エントロピー増大の原理が成立するので、エネルギーの循環は不可能であると考えるべきだろう。(武田、同書、p173)

循環における空間の大きさ
・・ある規模の工場などではエネルギー回生が有効である。(同書、p175)

資源国は外貨を得るために一定量の資源を輸出するので、資源が有限の場合、日本がリサイクルしてもしなくても資源は同一時期に枯渇する。 したがって、国際化の時代にはたとえリサイクルが資源の節約になっても、それが世界全体の資源の節約になるのではなく、単に日本だけが犠牲になることを示している。つまり自己満足の可能性が高い。(同書、p178)

・・国際化した経済や貿易の中で、日本の資源の節約が結果的にどのような影響をあたえるのか。(同書、p178)

リサイクルが資源の浪費になると日本の生産効率は低下するので、結果として日本の購買力が減少し、国際競争力が低下し、景気が悪くなるという表面的な現象を招いて、最終的には資源の消費量が低下すると考えられる。(同書、p180)

総じて、リサイクルが節約に役立つと考えてしまう原因には次の三つがある。
1)自分の身の回りしか見ない習慣
2)面倒なので、全部を計算しないで済ませる御都合主義
3)理想や目的は別にして儲かるから推進する
(武田、同書、p180)

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