2016年6月17日 金曜日 雨
西野友年 ゼロから学ぶエントロピー(ゼロから学ぶシリーズ) 講談社 2004年
断続的に雨が降り続く。午後は最寄りの大学の図書館にこもって西野さんのエントロピー本を読んだ。愉快な話題を上手に交えながらのエントロピー入門。随所に散りばめられたダジャレがエントロピー理解に特別に貢献しているかどうかは別として、居眠りせずに一挙に読み通すことができたのである。こうして一日中、夢中でいわゆる勉強に励んでいて、若かった18,9歳の頃の自分に帰っているような錯覚を覚えた。
学生との会話形式で個人授業を展開してゆくような感じ。話の進め方は野矢さんの「無限論の教室」を彷彿とさせる。
ちょっとだけ気に掛かること・・・この本のなかに登場する「西野」先生は、ニースでの国際学会に出張参加していながら、学生へのエントロピー講義にかまけて、学会参加をサボっているという設定である。もちろん、話を面白くするための架空の設定だから、現実に文部科学省のお役人からお呼び出しをくうことはないだろう。しかし、今日この頃では、大学教員に対する上からの締め付けは大変厳しいものがある。たとえこのような架空の設定の愉快な記載であっても、大学の管理者から不謹慎を慎むようにとのおしかりを受けかねない風潮が漂っている。今どうなっているのだ? この本が出版された2004年ごろは、独法化になるかならないかといった頃で、全体として萎縮することなく自由な気風があったのであろう。
大学人には、自らの良識に従って、学問の自由の中で、独立不羈であって欲しい。西野さんには、50歳になっても、60歳になっても、西野節をさらに元気に円熟させて、研究にそして講義にかまけて欲しいものである。応援しています。
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