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タヴリーダ宮は誰の手に: 憲法制定議会の軍事制圧(1918年1月18〜19日)

2022年2月27日 日曜日 晴れ

神野正史 世界史劇場 ロシア革命の激震 人類初の社会主義革命はいなにして起こったのか? ベレ出版 2014年

神野正史 粛清で読み解く世界史 辰巳出版 2018年

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 大盤振舞いの公約 憲法制定会議選挙

 ・・ケレンスキー政権は倒したものの、つぎは「憲法制定会議」が迫っていた。農民の数が圧倒的に多いロシアにおいて、今、憲法制定会議のための選挙が開かれれば、ボルシェヴィキの敗北は目に見えていたが、大義名分上、開催しないわけにはいかなかった。レーニンは選挙開催そのものに反対するも、否決されてしまう。(神野、ロシア革命、p295)

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 タヴリーダ宮は誰の手に: 憲法制定会議の軍事制圧

 ・・選挙結果は、レーニンが懸念していた通りとなった。案の定、エスエル(農民代表「ロシア社会革命党」)が単独過半数の与党となってしまう。当然、レーニンの主義主張はことごとく破棄され、「すべての権力を憲法制定会議へ!」が声高に叫ばれた。このままでは十一月革命の成果は水泡に帰してしまう。レーニンは憲法制定会議の軍事制圧を決意した。(神野、ロシア革命、p303)

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 ・・弱体この上ない「労働者単独政権」をどうやって維持していけばよいのでしょうか。

 じつは、もはや残された手段は、好むと好まざるとに関わらず“ひとつ”しかありませんでした。

 それが“恐怖政治”です。

 デモ・ストライキ・農民一揆を起こす者は徹底的に弾圧、処刑、そして全財産没収・・などは基本中の基本。

 当時のレーニンの「命令書」には目を疑うものが数多い。

 −−警察に名を問われて、答えることを拒否した者は、その場で射殺せよ。

 自分の名を答えなかっただけで!?  ・・・以下略・・・(神野、ロシア革命、p314)

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“理想社会”の実現を夢みた先に待っていたのは、二人の魔王に支配され荒廃した国土だった(神野、粛清、p184)

・・こうしてロシアのマルキシストたちの政治理論は“現実”を前にしてことごとく誤りであることが白日の下に曝されたのでした。

・・もはやこの弱体政権を維持させるためには“おぞましい弾圧””凄まじい粛清”に走るしかなくなります。

粛清の論理⑦ 粛清には支配地盤を強める効果があるため、弱体政権は、安易に大粛清に走ることが多い。(神野、粛清、p189)

レーニンが直接的に拷問・処刑していった人民(ナロード)の数だけでも数十万。 飢餓輸出による“殺人”を含めれば数百万です。 これは、ヒトラーがホロコーストしたユダヤ人の数に匹敵する数です。 とことん“理想社会”を追究して辿りついた先は“独裁者が殺戮を続ける地獄”ーーというロベスピエールも孫文も堕ちていった途をレーニンも辿っていくことになりました。(神野、粛清、p192)

レーニンすら小物にみえるスターリン登場(神野、同書、p192)

・・さらに、農民の食い扶持まで輸出に回す(レーニンも毛沢東もやった飢餓輸出)。 特にウクライナ地方では、世界15ヶ国から「民族絶滅作戦ジェノサイド」と認定されるほどの収奪が行われ、千万人規模の餓死者を出す。(所謂「ホロドモール」)。これによりウクライナ東部ではウクライナ人がほぼ死滅、そこを埋めるようにロシア人が入植。「ウクライナ問題」を引き起こす契機となりました。(神野、同書、p195)

“ボリショイ・テロル”収束と独ソ開戦:

「粛清は一度始まれば、止むることを知らない」という原則。(神野、同書、p198)

にもかかわらず、なぜこれほどの大粛清がここにきて収束していったのか。 もうひとつの原則、「粛清を止めることができる唯一の制御装置が外圧」だという原則。

・・ついにレニングラードもモスクワもスターリングラードも陥とすことができなかったのですから、ソ連の人を“盾”として扱う人海戦術は「すさまじい」のひとことに尽きます。 第二次世界大戦における戦死者数を比較すると、“敗戦国ドイツ”より“戦勝国ソ連”のほうが圧倒的に多いのは、こうしたスターリンの戦術に大きな原因があったのでした。(神野、同書、p200)

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スターリン治世、約20年。 その間に彼によって直接粛清された人の数だけでも数百万人に上ると言われ、計画飢餓・飢餓輸出によって計画的に餓死させられたひとの数まで含めれば、4000〜5000万人。・・「大粛清ボリショイテロル」は38〜39年を頂点として、その後は第二次世界大戦の勃発によって規模は縮小していきましたが、スターリンの命ある限りつづきました。(神野、同書、p200-201)

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