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磁気的な現象はすべて電流から説明できる

2016年7月16日 土曜日 晴れ

西野友年 ゼロから学ぶ電磁気学 講談社 2007年

磁気的な現象はすべて電流から説明できる

アンペールは、「永久磁石」の中には、電流が流れているとても小さな輪がいくつもあって、それが磁場を発生させているのではないか? と推測した。この、アンペールの考えに登場する「小さな輪に流れる電流」を「分子電流」と呼ぶ。棒磁石の磁場を作るものが、磁荷ではなくて「極微の世界の電流」だというのだ。これは実にうまくできた考え方で、輪が隣り合っていると互いに電流が打ち消し合うことから、棒磁石の表面に現れた分子電流だけが、ソレノイドと同じ磁場を作る。こういう風に、磁気的な現象がすべて電流から説明できてしまうことが、電磁気学の面白さの1つだ。(西野、同書、p101)

永久磁石の源
分子電流ってホントにあるの?と質問されると、(誤解を恐れなければ)現代物理学ではNOと答えることになる。「点状の素粒子」である電子が、それ自身小さな磁石であることがディラックによる「相対論的量子力学」によって明らかにされている。永久磁石ではこの「電子磁石」が同じ方向にそろっているので大きな磁場が発生するのだ。

ではどうして「電子磁石」が同じ方向にそろうの?・・と誰でも思うだろう。この説明は一筋縄ではいかない。量子力学の開祖、ハイゼンベルグが「交換相互作用」というものを考えて以来、延々と今日まで様々な議論がなされている。・・・(中略)・・・面白いことに、電子磁石の方向をそろえているのは、結局のところ電子の間に働くクーロン力なのだ。物質の中でも電気と磁気は深く関わり合っている。(西野、同書、p102)

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