読書ノート

薄明: 甲府市焼盡

2021年2月4日 木曜日 薄曇り(朝は晴れているのか曇っているのかわからないような薄曇り、雪は降っていない。)

太宰治 ちくま文庫版太宰治全集8 1989年(オリジナルの執筆年月は不明。『薄明』昭和21年11月、新紀元社刊に初めて収録される。)

・・注射がきいたのか、どうか、或いは自然に治る時機になっていたのか、その病院にかよって二日目の午後に眼があいた。  私はただやたらに、よかった、よかったを連発し、そうして早速、家の焼跡を見せにつれて行った。  「ね、お家が焼けちゃったろう?」  「ああ、焼けたね。」と子供は微笑している。(太宰、同書、p172)

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・・まさに、最悪の時期に襲来したのである。・・・(中略)・・・ざっと頭の真上から火の雨が降って来た。  「蒲団をかぶれ!」  私は妻に言って、自分も子供を背負ったまま蒲団をかぶって畑に伏した。直撃弾を受けたら痛いだろうなと思った。  直撃弾は、あたらなかった。蒲団をはねのけて上半身を起こしてみると、自分のみのまわりは火の海である。  「おい、起きて消せ! 消せ!」(太宰、同書、p164)

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