culture & history

西洋の「中世」という言葉の欺瞞: 近代ヨーロッパにとって、「中世」と呼ばれる時代は、存在しなかった。

2022年10月13日 木曜日 晴れ

田中英道 新日本古代史 育鵬社 2021年5月10日発行

西洋の「中世」という言葉のレトリック・・実は近代ヨーロッパについて、「中世」と呼ばれる時代は、存在しなかった、といってよいのです。・・「中間」という言葉を使うのはおかしいのです。というのも、人種も、古代ローマ人は、ゲルマン民族の大移動で、入れ替わっています。宗教もローマ時代末期から、すでにキリスト教に変わっており、別の民族、宗教の人々なのです。言葉もラテン語を使わなくなりました。言葉が変わったということは文化もはっきり変わったのです。 何よりも、私が見たものは、この間の、「古代ローマ」の徹底的破壊です。「中世」という言葉で、他の文化の人々にその破壊を忘れさせようとしているようです。 ・・もしイタリアが古代ローマを継続し、「中世」となるなら、これほど破壊されていないはずです。それはほとんど憎しみに似た破壊のようなのです。パンテオンがキリスト教会に利用されている以外は、全く見るも無惨な廃墟になっています。 ・・ところが、建築の無惨な姿と異なり、そこから発掘され保存された遺物は、・・大半は、ほとんど無傷のまま保存されているのです。つまり、現在の西欧人の祖先たちが、ローマ帝国に押し入り、住宅の内部から中のものを叮嚀に略奪し、その後、建築をわざわざ破壊したのです。その略奪ぶりは徹底しています。 「中世」などという時代区分の用語は、あたかも漸次的に世界が変わっていくように見せながら、その破壊性を糊塗しています。 ・・激しい断絶の間の破壊のすさまじさを忘却に付すために、さかんにこの歴史用語(=中世)を使い、日本人にまでそう思わせているのです。西欧の初期文化であるカロリング、ロマネスク建築が、その「中世」文化であると思わせて、そうした歴史の上に現代の歴史が築かれている、と考えることは、そうした彼らの歴史の真実をまったく見ていないといわざるをえません。(田中、同書、キンドル版6/139ページ、No.70/1928)

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