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財政出動が不足すると総需要の不足という「デフレの原因」が解消されず、国民は所得を減らし続ける。

2023年1月20日 金曜日 曇り

三橋貴明 三橋貴明の日本を豊かにする経済学 WAC 2014年

 ・・物価とは、モノやサービスの価格である。モノやサービスの購入を「消費」、または「投資」と呼ぶ。すなわち、モノやサービスが買われると、総需要である名目GDPが必ず増える。

 社会全体の「マネーの量」が増えているにもかかわらず、総需要が増えずに物価が下がり続ける。実は、お金が銀行から借り入れられ、たとえば「先物取引」「株式」「土地」の購入に回った場合、わが国の総需要は一円も増えないのだ。(三橋、同書、p230)

 拡大したマネーストックは「何に向かう」のか

 モノやサービスは、国民が労働により生産したものだ。総需要である名目GDPは、あくまで「国民が働くことで生み出したモノやサービス」が購入されなければ増大しない。・・先物取引や株式は単なる「金融」あるいは「信用」であり、土地は日本に予め備えられていたものだ。国民の労働で産み出されたわけではない金融商品や土地が売買されても、物価には何の影響も与えないのだ。(同、p231)

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 ・・結果的に、わが国のデフレギャップは過小評価され、政府は総需要拡大策という正しいデフレ対策に乗り出さず、さらに「デフレの原因はマネー量が不足しているためだ」と主張する声が大きくなり、金融政策のみがクローズアップされて財政出動がなおざりにされてしまうのである。

 そして、財政出動が不足すると総需要の不足という「デフレの原因」が解消されず、国民は所得を減らし続ける。国民の所得が減れば、当然ながら税収も減少し、財政が悪化する。財政が悪化すると政府の公共サービスが民営化されて、コンセッションやPFIにより「民間資本」が導入される。結果的に、誰が得をするのだろうか。

 少なくとも、日本国民が「損」をすることだけは疑いない。(三橋、同書、p239)

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